ラブアン法人と仮想通貨関連事業

現在、ラブアン法人を活用し仮想通貨関連事業(ICO事業や仮想通貨取引所の運営)を希望される事業者様からのお問い合わせを非常に多くいただいております。

このようなニーズが多いことから、ラブアン金融庁と度々協議を重ねて参りましたが、2018年3月現時点においては一切の承認を行わないとの最終回答がありました。

したがって、ラブアン金融経済特区(オフショア金融センター)が提供する金融取引ライセンス(Financial Broker Licence)及びファンドライセンス(Fund Licence)では仮想通貨関連事業を行うことが不可能であるとお考えください。

2018/07/07更新【速報】ラブアン金融庁がIFS事業の受け入れに方針転換しました。

なお、代替案として東欧法人のライセンス取得サポートを行う体制が整いましたので、以下に報告させていただきます。当案件は弊社ラブアン法人ではなく、シンガポール法人のサポートチームにてサービスを提供いたします。

※情報が日々更新されるため、当ページは随時アップデートを行いますので各自更新内容をこまめにチェックしていただくようお願いいたします(*最終更新日2018/07/07*)。

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【東欧法人を活用した仮想通貨関連事業の概要】

昨年、2017年末より東欧諸国(エストニア、べラルーシなど)が仮想通貨関連事業の受け入れに対し、非常に前向きな法制度の準備を進めています。

おそらく近い将来、東欧諸国は仮想通貨関連事業の誘致に向けて緩やかなIT連合国家を形成していくものと思われます。ただし、注意点としてはいずれの国もヴァーチャル空間で完結するような事業取引(仮想通貨の取引)にかぎり誘致を行っているため、実体空間を介入させる取引(法定通貨の取引)は事業開始までのハードルが高くなります。

すでにエストニアでは当制度が2018年1月より開始、この流れを受けて東欧諸国やカリブ海諸地域がガイドラインを随時施行予定との情報が入って来ています。

ここではすでに制度が開始しているエストニアを例に説明を行って参りますので検討材料としていただければ幸いです(他の国・地域ともにエストニアにガイドラインを準拠させてくるようです)。

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◆◆◆エストニア法人を活用した仮想通貨関連事業について◆◆◆

【対象者】

まず、対象者の皆さまは以下の2パターンと4類型に分類されることと思います。ご自身の想定するビジネスモデル(Nature of Business)が以下のどのパターンに該当するかご確認ください。

1. 仮想通貨のみで事業活動を検討している事業者様
1-1.【ICO事業】投資家から仮想通貨のみで資金調達を行う場合(例:BTCETCを受け取り、対価としてプレセール等でトークンを投資家に配布する)

1-2.【取引所運営】投資家から仮想通貨のみで入出金サービスを提供する場合(例:取引所への入出金はBTCETCのみ受け付ける)

2. 仮想通貨と法定通貨の両方で事業活動を検討している事業者様
2-1.【ICO事業】投資家から法定通貨の調達も行う場合(例:トークン発行の対価としてBTCETCだけでなくUSDJPYも受け付ける)

2-2.【取引所運営】投資家から法定通貨の入出金も可能なサービスを提供する場合(例:取引所への入出金はBTCETCだけでなくUSDJPYも受け付ける)

結論先行で申し上げますと、仮想通貨のみで十分なビジネスモデルについては、全てエストニア国内のみでセットアップが完了します。

その一方で、法定通貨を介入させる取引については、エストニア国内だけでは事業の実現が不可となり、シンガポール法人などを別途組み合わせる必要があります。

現在、エストニアが提供しているライセンスの要件は「法定通貨を一切介入させず、全ての取引を仮想通貨のみで完結させる」ことが条件であるため、このライセンスでは現地の銀行口座(法定通貨)の開設が不可となっています(べラルーシ・アルメニアも準拠予定)。

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【ライセンスの種類】

それぞれの国(例:エストニア+シンガポールのダブルコンビネーション構造)で当該事業に必要となるライセンスは以下のようになります。

X. 仮想通貨事業ライセンス:エストニア
Y. MAS為替取引所ライセンス :シンガポール (※MAS = Monetary Authority of Singapore)

したがって、上記XYのライセンス保有要否はそれぞれ以下のように決定することになります。

1. 仮想通貨のみで事業活動を検討している事業者様
→ Xのみ必要
2. 仮想通貨と法定通貨の両方で事業活動を検討している事業者様
→ XとYの両方が必要

つまり、ICO事業も仮想通貨取引所の運営も「法定通貨を介するか否か」によって「為替取引事業者か否か」が決定し、結果としてライセンスは同じものを使用することになります。法定通貨を介入するビジネスモデルを構築する場合は、事業開始までのハードルが一気に上がります。

◇ シングル構造のイメージ(仮想通貨のみ)◇ 
エストニア法人 → Xのライセンス(税制優遇措置の適用。法人税非課税、ただし配当時のみ20%が配当益課税対象)
◇ ダブルコンビネーション構造のイメージ(仮想通貨+法定通貨)◇ 
シンガポール法人 → Yのライセンス(エストニア法人名義の法人口座開設+資金凍結リスクの回避)

↓100%出資

エストニア法人 → Xのライセンス(税制優遇措置の適用。法人税非課税、配当時のみ20%が配当益課税対象)

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【シンガポール法人・エストニア法人設立必要書類一覧】

必要書類 1. パスポート顔写真コピー(※公証人又は弁護士による認証が必要)

(参考:「パスポート認証について」)

2. 住居証明書類(※公証人又は弁護士による認証が必要)

(参考:「住所証明書類について」)

3. 各種署名書類(※パスポートコピーを受け取った時点で作成します)
4. 株主となる者の名称(個人・法人)
5. 取締役となる者の名称(個人・法人)
6.発行数株式数(※100,000株以上を推奨)

※最低資本金は2,500EURから可能

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【エストニア法人設立費用目安】

・エストニア法人設立+ライセンス取得サポート 20,000EUR程度/初年度

【内訳】

  • 1. Estonia Company Incorporation + Obtain CC Lisence + Application to Financial Intel Unit
    エストニア法人設立+仮想通貨ライセンス取得サポート+金融庁への申請代行サービス:
    → 7,800.00EUR
  • 2. CS per annum
    法人年間管理費(YYYY年MM月~YYYY年MM月):
    → 2,000.00EUR
  • 3. Bank Acc – 1 application Due Diligence
    銀行口座×1件のデューデリジェンス費用:
    → 1,000.00EUR
  • 4. Service & Local Contact Person 1 Year年間サービス及び現地担当者料金:
    → 1,500.00EUR
  • 5. Document translation into Estonian Language + Courier Fees
    エストニア語への書類翻訳代行及び宅配手数料
    → 1,700.00EUR
  • 6. Consulting Fee
    コンサルティング報酬
    → 6,000.00EUR


  • Total Payable
    総額:
    → 20,000.00EUR

※次年度以降の維持費は2,000EUR程度/年~

→ ライセンス取得まで3か月程度が目安

【シンガポール法人設立費用目安】

・シンガポール法人設立+ライセンス取得サポート 10,800SGD程度/初年度

【内訳】

  • ・シンガポール法人設立費用:1,200SGD
  • ・初年度会社秘書役費用:2,000SGD /年
  • ・事業所住所賃貸費用:1,600SGD /年
  • ・居住取締役委託費用:2,500SGD /年
  • ・居住取締役への保証金:3,000SGD /年
  • ・法人口座開設サポート:500SGD/口座
  • ⇒ 合計 10,800SGD

※次年度以降の維持費は5,000USD程度/年~

ライセンス取得まで6か月程度が目安(シンガポール法人が完全な透明性を提供し、コンプライアンス、信任義務ともに遵守するか審査があります)[※1]
※ 払込資本金: 1,000,000USD相当以上が必要 [※2]
・MAS ライセンス取得料金:25,000SGD程度(「証券取引」のカテゴリーで有価証券を扱うCMSライセンスの申請費用として)

※1 すでにシンガポール法人を保有されている方は、今回の依頼を引き受ける条件として、カンパニーセクレタリーを指定の信託会社に変更いただくようご協力をお願いいたします(Biz Fileの一元管理を行うため)

※2 MASライセンスの申請には25,000SGDの実費に加え最低でも1M USD相当以上の払込資本金(Paid up Capital)が必要となります。資金調達のためのICOであるわけですから、すべての事業者様が1M USD相当の法定通貨をすぐに準備できるわけではないと思います。こちらのアドバイスとしてはライセンスは申請すれば必ず取得できる保証がないため、当面は仮想通貨のみの受け入れで最低限のスタートアップを実施し、その後ICOで調達した資金を払込資本に充当させる、といった手順を踏んだほうが、迅速な手続きが可能になるかと思います。スタートアップ事業は「リトルベット方式(始めは小さく始めること)」が鉄則です。

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【Q&A】

Q1. エストニアはライセンスを発行するのに、なぜ法人口座(法定通貨)の開設を認めないのですか?
A1. エストニアの基本的な考え方は法定通貨に影響を与えることなく、バーチャル空間上の取引についてのみ規制緩和をするというスタンスのようです。

これはオフショア法人の考え方に似ています。たとえばラブアン法人は実行税率が3%ですが、A国とB国をつなぐような取引のために用いられます。これはIBC(=Internationai Business Company)といって、自国の「通貨建て(リンギット)」及び「マレーシア居住者(法人含む)」との取引を規制する代わりに税制優遇措置が受けられます。

ラブアン法人でもマレーシア居住者と取引した場合は3%どころか25%まで実行税率が跳ね上がります。この制度の本質はあくまでも外貨獲得のために用いられる法人であるため、国内取引を無条件に認めてしまうと誰もマレーシア法人を使わずラブアン法人で取引をすることになります。これではマレーシア全体がタックスヘイブンになってしまい、政府の税収は落ちてしまいます。

エストニアも上記同様の考え方で、基本原則として実体金融に影響を与えるような使い方はさせないような制度設計をしているのだと思います。

Q2. ラブアンやセーシェルなどのオフショア法人をシンガポール法人の代替として活用はできないでしょうか?
A2. オフショア法人の秘匿性要件がある以上、このライセンスについては検討しない方が良いでしょう。それは火と水のようなもので、透明性を要求するライセンスとの共存を図ることはできません。

その意味では、シンガポール法人はこのライセンスを適用させるのに適していると考えられます。しかし、どうしてもという場合、オフショア法人はシンガポール法人の100%株主として設立し、適切な情報開示を行っていただく必要があります(設立証明書、株主名簿、取締役名簿、真の受益者の個人情報開示など)。

◇ トリプルコンビネーション構造のイメージ(仮想通貨+法定通貨)◇ 
ラブアン法人 → 一般法人ライセンス(就労ビザ取得、マレーシア移住などに利用)

↓100%出資

シンガポール法人 → Yのライセンス(エストニア法人名義の法人口座開設+資金凍結リスクの回避)

↓100%出資

エストニア法人 → Xのライセンス(税制優遇措置の適用。法人税非課税、ただし配当時のみ20%が配当益課税対象)

※上記で利用する各国間の租税条約を確認する必要があります。

※上位階層から順番に設立する必要があります。これを実行する場合は時間と費用がそれなりにかかります。費用対効果に見合うかどうかご検討ください。

Q3. 個人投資家として仮想通貨の売買を行っています。東欧諸国に銀行口座を開設し、仮想通貨の売買を行うことは可能でしょうか?
A3. 可能です。現在、ラブアンが帰属するマレーシア連邦や近隣国のシンガポールでは法人口座から仮想通貨取引所へ多額の法定通貨建て送金を行った場合、リスク性の高い取引として口座凍結対象になる可能性があります。そのため、弊社クライアントの方々は原則として個人口座からの入出金を行うようアドバイスを行い、必要に応じて各種書類の提出サポートも行っています。

このような事情があることから、ラブアン法人名義などで東欧諸国の非居住者口座を開設し、法人口座⇔取引所間の法定通貨の移動を行うといった利用が可能になる日も近いかもしれません。ただし先述したとおり、これらの国々はあくまでの仮想通貨の入出金に対してリベラルな立場をとっているだけであり、法定通貨建ての多額の資金移動には相応のリスクが生じる可能性があることは注意が必要です。

上記の案件につきましては弊社BPO Link Labuan Co., Ltd.社でお引き受けが難しいため、渡邉宛に直接お問い合わせいただきますようお願いいたします。下記お問い合わせフォームの題名に「【仮想通貨関連】←問い合わせ内容(例:ICO事業に関するご相談)→」のように記載いただき、メールをお送りください。

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