ラブアン法人の不動産投資と税制

マレーシアでコンドミニアムなどの不動産を購入するためには、外国人の場合、一般的に100万リンギット以上の物件(州によっては100万RM未満の物件でも購入可)で、かつ購入時に州政府の承認手続きを得る必要があります。

外国人の最低購入価格 MM2Hビザ保有者
セランゴール州(クアラルンプール) RM1,000,000~ RM500,000~
セランゴール州(クアラルンプールを除く) RM500,000~ RM500,000~
ペナン州 RM1,000,000~ RM500,000~
ジョホール州 RM1,000,000~ 案件ごとに異なる

マレーシア国内での不動産取引を行う場合、課税方式は「固定資産税」・「所得税」・「登記印紙税」・「不動産譲渡益課税」の4つに分類されます。なお、この規定は、ラブアン法人にも適用されますのでご注意ください。

以下に、ラブアン法人名義でマレーシア国内への不動産投資を行う場合の税制上の見解について要点を整理しましたのでご参照ください。


 

【不動産取引にかかる固定資産税の取扱いについて】

マレーシアでは物件を所有することにより、固定資産税の支払いが必要となります。固定資産税は、 「土地に関する税金(Quit Rent)」と、「建物に関する税金(Assessment)」の2種類があります。

固定資産税
  • ・土地に関する税金(Quit Rent)
  • → 年1回、行政当局(州の役所)より請求されます
  • ・建物に関する税金(Assessment)
  • → 1~6月分と7~12月分の年2回に分けて行政当局(州の役所)より請求されます

 

【不動産取引にかかる所得税(インカムゲイン課税)の取扱いについて】

取得した物件を賃貸し家賃収入を得た場合、所得税の支払いが必要となります。年間の家賃収入(グロス金額)から管理費や固定資産税等の諸経費を控除した後、家賃所得(ネット金額)に対して以下のとおり課税されます。

所得税(インカムゲイン課税)
  • ・非居住者(年間滞在日数が182日未満
  • → 25%の一律課税

※ 所得税申告は、前暦年度の分を翌年4月に行い、還付申請は翌々年の4月に行うことが可能です。

  • ・居住者(年間滞在日数が182日以上
  • → 0~25%の累進課税

※ラブアン法人名義の取引はマレーシア居住者として取り扱われます。


 

【不動産取引にかかる登記印紙税の取扱いについて】

物件の完成後、所有権移転の権利証(Strata Title)が発行され、以下の登記印紙税が課税されます。

登録印紙税 ~ RM100,000 1%
RM100,001 ~ RM500,000 2%
RM500,001 ~ 3%

例:10万リンギットの物件を購入した場合

~ RM100,000 RM100,000 × 1% = RM1,000
RM100,001 ~ RM500,000 RM400,000 × 2% = RM8,000
RM500,001 ~ RM500,000 × 3% = RM15,000
合計 RM24,000

※権利証の発行は未完成物件の場合、完成から2~3年後、中古物件の場合は6ヶ月~1年後が目安となります。


 

【不動産取引にかかる不動産譲渡益課税(キャピタルゲイン課税)の取り扱いについて】

所有している物件を売却し、売却益(キャピタルゲイン)が発生した場合は、売却益課税(キャピタルゲイン課税)の支払いが必要となります。

保有期間 不動産譲渡益課税(Real Property Gains Tax:RPGT)
法人 個人(マレーシア人および永住者) 個人(外国人)
取得日より3年以内 30% 30% 30%
4年目 20% 20% 30%
5年目 15% 15% 30%
6年目以降 5% 0% 5%

※ラブアン法人はマレーシア法人と同様に「法人」の部分に該当します。

(参考:JETROホームページ「マレーシア 税制」)


 

【補足:REITを活用した場合の税制上の見解について】

不動産への直接投資ではなく、REIT(不動産投資信託)を活用した不動産投資を行う場合、税制上は株式の売買と同様の取り扱いとなります(参考:「ラブアン法人の証券投資と税制」)。

REITは不動産の賃料収入が主な分配の原資となっているため、不動産の「間接的な所有者」として、毎月、家賃収入(=配当収入)を得ることが期待できます。

直接投資(現物不動産の購入) 間接投資(REITの購入)
空室リスク 比較的高い 低い
流動性 低い 比較的高い

REITは多くの不動産に分散して投資を行うことで、空室のリスクも分散することが可能となり、分配金は比較的安定的に支払われる傾向にあります。さらには、不動産を小口化(証券化)していることから比較的流動性も高く、直接投資に比べて換金性の高い金融商品であるといえるでしょう。

また、運用会社は、「不動産投資を目的とする法人」であることから、賃料収入から各種費用を引いた当期利益の90%超を投資家に分配することを条件に、税金が免除されることになっています(投資家は税引前の利益を分配金として得ることが可能となります)。

香港やシンガポールなど、海外の証券会社から売買手続きを行うことにより、証券会社からは源泉徴収が行われず、ラブアン法人口座にはネット金額ではなく、グロス金額が振り込まれることになります。

さらに、上記の取引によって、ラブアン法人は国外源泉所得を得たことになるため、結果として不動産譲渡益課税(Real Property Gains Tax:RPGT)等の税制適用を回避できると考えられます(ラブアン法人は国外源泉所得が非課税となります)。

ラブアン法人 → マレーシアの不動産会社 → マレーシアの不動産を購入 → ラブアン法人名義で運用を行う
  • ・マレーシア国内取引はラブアン法人でも課税対象となる(この場合、マレーシア法人と同様の税率が適用される)

→ 各種税金の支払いが必要

ラブアン法人 → シンガポールの証券会社 → マレーシアのREITを購入 → REIT法人が運用を行う
  • ・ラブアン法人はREIT銘柄の発注手続きを行い、実際のREIT購入はシンガポールの証券会社が代行して行う(ラブアン法人は国内取引を行っていないため、マレーシア側では非課税)
  • ・シンガポールの証券会社はREIT法人から配当金や売却益を受け取るが、REITは源泉徴収されない(REITはマレーシア・シンガポールともに二重非課税)
  • ・マレーシアの税法ではシンガポール(マレーシア国外)から受け取る源泉には課税されない(マレーシアでは「国外源泉所得非課税方式」が採用されているためラブアン法人は非課税)

→ 各種税金の支払いは不要

このように、二重非課税スキームをうまく組み合わせることで、ラブアンとマレーシア本土の租税回避スキームが有効になると考えられます。税務上の観点からも、REITを活用した間接取引を検討してみる価値はありそうです(詳しくは、「ラブアン法人の証券投資と税制」をご参照ください)。

※納税に関しては居住国と法人設立国に準じて申告していただきますようお願い致します。

※マレーシア以外の国で不動産投資を行う場合は、投資先国の税制度をご確認くださいますようお願い致します。

注意喚起】日本国居住者の皆さまへ
日本国居住者の方は上記の租税回避スキームを利用することはできませんのでご注意ください。

【日本国居住者】
日本の税法では「全世界所得課税方式」が採用されているため、日本国内・海外で得た利益ともに課税されます。したがって、配当益(=インカムゲイン)・売却益(=キャピタルゲイン)ともに課税対象となります。
【マレーシア居住者】
マレーシアの税法では「国外源泉所得非課税方式」が採用されているため、マレーシア国内で得た利益に対してのみ課税されます。したがって、投資先国での配当益(=インカムゲイン)のみが課税対象となり、売却益(=キャピタルゲイン)は非課税となります。

※税法に関しては各国によって制度が異なるため、弊社だけでは結論が出せない部分もございます。詳しくは居住国の税理士等の専門家にご相談ください。

※納税に関しては居住国と法人設立国に準じて申告していただきますようお願い致します。

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