ラブアン法人の租税優遇措置

 ラブアン法人の租税優遇措置等に関して、以下の特色が挙げられます。


1. 法人税の優遇措置
ラブアン法人は、香港やシンガポールと比較した場合、非常に魅力的な税制優遇措置が取られています。

香港 シンガポール ラブアン
税率 16.5% 17% 3% または 一律2万リンギット
会計監査 必要 必要 必要(2万リンギットを選択した場合は不要)

商業活動(Trading Activity)を行うラブアン法人は会計監査済純利益の3%、または20,000リンギットの納税方法を選択でき、事業年度が切り替わるごとに、上記のいずれかを選択することができます。前者を選択した場合は監査人(Auditor)による法定監査を受ける必要がありますが、後者を選択した場合は法定監査義務が免除されます。

商業活動を行うラブアン法人(Trading Company):3% または 20,000リンギット

20,000リンギットの納税方法を選択した場合は法定監査義務が免除されます。

(※商業活動:銀行業、保険業、ファンドマネージメント業、リース業等)

商業活動を行わないラブアン法人(Non Trading Company): 0%(非課税)

商業活動を行わないラブアン法人は、非課税となり、Auditorによる法定監査を受ける必要はありません。

(※非商業活動:ラブアン法人の自己勘定取引による証券取引:株式や債券等、ローン、預金、不動産投資等)

商業活動を行うラブアン法人と商業活動を行わないラブアン法人: 3% または 20,000リンギット

両方の活動を行うラブアン法人の場合、商業活動を行うラブアン法人とみなされます。


2. 専門職者に対する減税措置
ラブアンのオフショア会社に対して適格な基準を満たす専門的業務を提供する個人、その従業員、または企業は、法定所得の65%まで法人税が免除されます。なお、専門的業務には、法律、会計、財務、秘書業務のサービスが含まれます(2005~2020年 ※ただし延長される可能性あり)。

3. 雇用に対する減税措置
マレーシア人以外の管理職が受け取る給料は、所得の50%相当額まで免税されます(2005~2020年 ※ただし延長される可能性あり)。(※重要:「申請ビザの申請要件について」)

4. 所得税の免税措置
1967年所得税法に基づき、ラブアン法人は下記の免税措置があります[※1]。

・ラブアン法人によって居住者または非居住者である個人に支払われた配当金は100%免税され、全額非課税となります。

・ラブアン法人の事業活動または免税所得から生じる所得につき、ラブアン法人が支払う配当は100%免税され、全額非課税となります。

・マレーシア人以外の役員が受け取る役員報酬100%免税され、全額非課税となります(2007~2020年 ※ただし延長される可能性あり)。(※重要:「申請ビザの申請要件について」)

・マレーシア人でラブアン法人に勤務する従業員の給料は、受け取る住宅手当及び諸手当の50%に相当する金額まで免税されます(2006~2020年 ※ただし延長される可能性あり)。


5. 源泉税の免税措置
ラブアン法人は、以下に対する源泉税の支払いが免除されます[※2]。

・銀行、金融、保険などの事業に従事していない居住者または非居住者に支払われた利子は、源泉徴収税が非課税となります。

・非居住者又は他のラブアン法人に支払った利子は、源泉徴収税が非課税となります。

・非居住者または他のラブアン法人に支払った技術料やマネージメント料は、源泉徴収税が非課税となります。

・非居住者または他のラブアン法人に支払ったロイヤリティは、源泉徴収税が非課税となります。

・非居住者である受益者へのオフショア信託によって発生した分配金は、源泉徴収税が非課税となります。

・居住者又は非居住者の国外源泉所得(インカムゲイン)は、所得税が非課税となります。

・居住者又は非居住者の国外源泉資本利得(キャピタルゲイン)は、キャピタルゲイン税が非課税となります。


6. 印紙税の免税措置
ラブアン法人はラブアン商業活動について作成される全ての文書(M&A等による株式の移転書類、事業活動に関して締結される契約書類、定款書類等)に係る印紙税が非課税扱いとなります。

7. 間接税の免税措置
ラブアン法人は、商業活動(オフショア取引)に関して、GSTや関税等の間接税の適用が非課税となります。

注意事項】マレーシア居住者との取引について
マレーシアにはマレーシア法人とラブアン法人の法人形態が併存しており、世界でも珍しい1国2制度を採用している国家です。
2019年の法改正において、一律2万リンギットの税制は撤廃するがラブアン法人がマレーシア居住者との(リンギットでの)取引を認める方向に進んでおります。
詳細はまだ決定しておりません。改正が確定しましたらこちらにアップいたします。

マレーシア法人(Act.1965) ラブアン法人(Act.1990)
払込資本金が250万リンギット以下の場合[※] 課税所得50万リンギットまで19% 商業活動を行う場合 3% または 一律2万リンギット
課税所得50万リンギットを超える分 24%
払込資本金が250万リンギット超の場合 24% 商業活動を行わない場合 0%(非課税扱い)

※ グループ会社内に払込資本金が250万リンギット超の関連会社がある場合を除く。

ラブアン法人法は本来の性質上、オフショア取引(国際取引)を行う法人であるため、マレーシア国内での事業活動及びマレーシア居住者(法人含む)との取引は原則として禁止されています。

マレーシア居住者(法人を含む)との取引は厳密には可能ではありますが、この場合、オフショア法人としてのメリットを享受することができなくなり、さらには法人の維持・管理手続が極めて厳格化されます。

マレーシア居住者との取引(法人含む) ①マレーシア法人税法が規定する税率(19~24%)が適用され、ラブアン法人が有する税制優遇措置の適用対象外となる
②リンギット以外の外貨で決済をする必要がある

※ただし、法人運営に関する家賃・水道光熱費の支払い等は可能

③「取引を行ってから10日以内に国際ビジネス金融センター(IBFC)へ取引内容の届出が必要となる

※遅延した場合は1日ごとに500RM、最大で10,000RMの罰金が課せられる

弊社提携先であるいくつかの信託会社では、「ラブアン法人を設立してマレーシア国内で事業活動を行うことについては、①「税制メリットもなく」、②「会計監査も必須」であり、③「法令遵守が極めて厳格」なため、決しておすすめはできない」との見解となっています。

したがって、マレーシア国内での事業活動を想定されているお客様につきましては、マレーシア法人(SDN BHD)の設立をご検討ください。なお、弊社ではマレーシア法人設立サービスの取り扱いは行っておりません(ご希望であれば、対応可能な専門家の方をご紹介することは可能です)。

※1 受取人側の居住地国等においては、各国の税法において課税される可能性がありますのでご注意ください。

※2 外国子会社から支払われる配当がその源泉地国で源泉徴収税を課される場合、租税条約[※3]がない場合またはラブアンに対する租税条約の適用を除外する場合、源泉徴収税の外国税額控除ができない点に注意が必要です。

※3 ラブアンが帰属するマレーシア連邦では現在までに80ヶ国以上の国や地域との間に租税条約を締結しており、日本国も含まれていますが、ラブアンに関する取引について、パテント使用料金等については「日馬租税条約の適用対象外」となっています(2015年8月現在)。

第154回国会―参議院防衛委員会会議録第9号―」より抜粋

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