資産運用を始める目的

日本経済を中長期の視点で見ると、人口減少と超高齢化社会の到来で国力衰退を懸念される方が多くなっています。さらには、消費税率が引き上げられるなど増税時代を迎え、老後の年金に不安を抱く方も増えてきています。

資産運用や資産保全の目的を考えるとき、「老後の生活資金」・「病気や不時の災害への備え」という回答をされる方が全体の6割以上を占めているようです。また、特に引退後の生活期間が長くなる高齢者の方は、インフレリスクも十分に考慮しておく必要があります。

日本を例に少子高齢化問題を考えた場合、2010年では現役世代2.8人で年金世代1人を支えていますが、2030年には現役世代1.8人で年金世代1人を支えることになると予想されます。今後は、働く人の数よりも支えられる人の数の方が多くなる状況にあり、人口オーナス期とも呼ばれています。

こうした現象は日本のみならず、今後、先進国が直面していく課題となっています。また、少子高齢化により、公的年金の見直しや、その他にも、医療・介護費用の増加、年功序列制度、終身雇用制度の崩壊、税制の見直しが必要になってくると言われています。


 

【インフレの脅威】

複数の国や地域、商品に資産を分散して保有することはインフレ対策としても有効です。

インフレ率(%) 資産を半減させる年数(年)
2 36
3 24
5 14
7 11

インフレは一般的に過小評価されていますが、一般的に許容されている年率2%程度のインフレが続くと仮定した場合、購買力は36年で半減します。仮に年率3%のインフレが続けば、購買力は24年以内に半減し、次の24年でさらに半減します。

年率3%のインフレが続いた場合の購買力
現在の資産価値 24年後の資産価値 48年後の資産価値 72年後の資産価値
10,000円 5,000円 2,500円 1,250円

厚生労働省の「平成26年 簡易生命表」によれば、現在の日本人の平均寿命が男性:80.5歳、女性:86.83歳とされていることからも、これは明らかに重大な問題といえます。額面上の資産が増加してもインフレにより物価が上昇し、実質の資産価値そのものが目減りしてしまえば、何の意味も成さないからです。

このように、将来への備えや外部環境の悪化、インフレリスクなどを懸念し、資産保全を目的とした運用を開始される方が増えていますが、具体的な目標金額を決めずに運用を始めてしまうと、その後の運用方針に大きなブレが生じることになりかねません。数年後のための運用と老後のための運用、さらには安全に運用すべき資金とリスクをとってもよい資金とでは、自ずと運用方法が変わってくるからです。


 

【資産運用を始める目的とは?】

資産運用と聞くと、高利回りで資産を殖やすことをイメージされる方が多いかもしれません。

しかし、資産運用において大切なことは、「資産を極力減らさないように、少しずつ安定して殖やすこと」であるといえます。言い換えれば、現在保有している資産を減らさないための運用 ≒ 資産保全対策ということになります。

資産運用の本質 高利回りで資産を殖やすこと → ×
資産を極力減らさないように、少しずつ安定して殖やすこと → 

これから資産運用を開始される皆さまは、まずはご自身が取れるリスクの限界の範囲内で、目的を達成するための長期的な投資計画を立案されることをおすすめします。

そのためには、資産配分方針を策定し、市場の変動に左右されず、機械的に自らが決めたルールを守っていくことが重要です。具体的にどれくらいの期間で、どれくらいの資産を確保したいのかを投資を始める前に逆算し、明確に設定しておく必要があります。

20代、30代の方々の資産設計
20代、30代の方々は、これから資産をじっくり形成し、殖やしていく世代です。

そのためには、老後の準備資金や子どもの教育資金など、具体的な目標を立てる必要があります。最終的に目標金額に到達すればいいわけですから、日々の価格の変動や市場の誘惑に一喜一憂する必要がなくなります。このように、目先の短期的なリターンを追いかけるのではなく、10年、20年といった長期に渡る投資計画を立て、積立によって少しずつ元本を追加しながら資産運用を継続できる仕組み作りが重要になります。

40代、50代の方々の資産設計
40代、50代の方々の中には、すでにある程度の金融資産をお持ちの方も多いことと思います。

資産規模が大きくなり、年齢が高くなるにつれ、資産形成期とは異なった資産運用を検討する必要が出てきます。若い世代と異なり、資産を減らさない、守るという発想に切り替えて行くことになります。人生において最も高いリスクのひとつは、将来働けなくなった時にインフレの打撃を受けて、生活資金が目減りしてしまうことではないでしょうか?

運用目標を決めるときには、老後に向けて目標リターン3%で、30年間毎月5万円ずつ積み立てることで約3,000万円を目指す、もしくは子供の大学費用としては15年間毎月2万円ずつ、目標リターン年率5%で運用することで約500万円を目指すなど、具体的な積立額、年率リターンをイメージすることが大切です。

年率3%、5%と聞くと少ないように思えますが、30年間運用すると元本の1,800万円が、年率3%で約3,000万円、年率5%で約4,000万円まで増えることになります。このように資産形成においては、年々積み上がっていく複利の力を有効活用することにより、ご自身の現状の資産を把握したうえで、「何年後にいくらまで増やすか」を考える計画を立ててから実行することが大切です。


 

【リスクとリターン】

お金のことを考えるとき、最も基本となるのはリスクとリターンの関係です。

リターンというのは投資したとき、どのくらい儲かるかという利益のことです。その一方、リスクとは「危険性」であると誤解している方もいますが、投資の世界ではリスクとは「変動」のことをいいます。言い換えれば、リスクが高いというのは「変動が大きい」状態のことをいい、リスクが低いというのは「変動が小さい」状態のことをいいます。

リスクが大きい(ハイリスク) 変動(値動きのブレ幅)が大きい
リスクが小さい(ローリスク) 変動(値動きのブレ幅)が小さい

リスクとリターンには、以下の関係が成り立ちます。

リスクとリターンの関係   ハイリスク     ハイリターン  
  ローリスク     ローリターン  

資産運用の本質とは、「リスクをどのようにしてどこまで取るのかを予め設定し、超過リターンを狙う行為」であるといえます。

リスクを取らなければリターンは得られません。リスクを取らずしてリターンだけ得ることは不可能です。リターンの源泉がリスクである以上、リスクが小さい商品からは大きなリターンの源泉が生まれるはずがないからです。

もっとも、リスクを取っても必ずしもリターンがあるとは限らない点には注意が必要です。あくまでもリスクを取ることによって、高いリターンが得られる可能性が高まるということです。残念ながら、リスクを取れば必ずリターンが得られるという保証はどこにもありません。

運用戦略とは、リスクとリターンの適切なバランスを考慮した上で、どれだけのリスクを取り、どのような金融商品に投資して、どのようなリターンを狙うかを考える行為であるといえます。

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