共通報告基準(Common Reporting Standard)

CRSとは、”Common Reporting Standard”の略称であり、日本語では「共通報告基準」と呼ばれています。共通報告基準(CRS)はG20主導で導入され、2014年7月のOECDの会議で承認されました。

当制度の主旨は、「自動的情報交換(AEOI)の対象となる非居住者の口座の特定方法や情報の範囲等を各国で共通化する国際基準であり、これを適用することにより、金融資産の情報を各国税務当局間で効率的に交換し、外国の金融機関の口座を通じた国際的な脱税及び租税回避に対処すること」を目的としています。

当制度では、金融機関がまとめた非居住者(海外居住者)の口座情報の内容を、「非居住者の居住地国の税務当局」に年に1度通知することを義務付けており、これにより租税回避行為、特に税務当局が把握できていない情報の入手が迅速に可能となることが期待されています。

現在、OECDを中心とした『金融口座の自動情報交換制度 / Automatic Exchange of Information (AEOI)』の策定が進められていますが、AEOI制度は『CRS(共通報告基準)』に準拠した形式で情報交換がなされることになります。


 

「CRS(共通報告基準)」の報告対象となる金融機関及び口座情報

当制度の報告対象となる金融機関及び口座情報は以下のとおりです。

【個人名義口座】
  • 1、氏名
  • 2、現住所(「税務居住地」として認定)
  • 3、パスポート番号
  • 4、納税者番号(例:日本はマイナンバーなど)
  • 5、口座残高(各金融機関名の口座番号も含む)
  • 6、生年月日
  • 7、利子・配当等の年間受取総額
  • 8、金融商品の償還や売却による収益の情報
  • 9、保険商品の場合は、時価、もしくは満期予定返金額、契約書面の金額
  • 10、その他金融商品の(年末時点の)評価額 など
【法人名義口座(財団や信託を含む)】
  • 1、法人または団体の名称
  • 2、法人登録番号(納税者番号もあれば)
  • 3、登記国籍(本店所在地)
  • 4、事業拠点のある住所(「税務居住地」として認定)
  • 5、業種
  • 6、法人代表者の氏名および現住所(「税務居住地」として認定)、誕生日、パスポート番号(もしくは納税番号)
  • 7、口座残高(各金融機関名ごとの口座番号も開示対象)
  • 8、保険商品の場合は、時価、もしくは満期予定返金額、契約書面の金額
  • 9、利子・配当等の年間受取総額
  • 10、金融商品の償還や売却による収益の情報
  • 11、その他金融商品の(年末時点の)評価額 など

当該金融機関は、共通報告基準(CRS)に定められた手続に従って、口座保有者の居住地国を特定し、報告すべき口座を選別することとされています。

具体的には、新規開設口座については金融機関が口座開設者から居住地国を聴取する等して居住地国を特定し、既存の口座については金融機関が口座保有者の住所等の記録から居住地国を特定することにより、報告すべき口座の選別が行われることになります(非居住者に係る情報については、平成30年4月1日に初回の報告がされることになります)。

ただし、初回の報告義務対象は、以下のような経過措置が採られています。

情報交換協定の初回報告義務対象
新規口座 個人・法人口座開設の場合 報告義務対象
既存口座 海外個人口座で、預金残高が一口座あたり100万USドルの場合 報告義務対象
海外個人口座で、預金残高が一口座あたり100万USドル未満の場合 報告義務対象外
海外法人口座で、預金残高が一口座あたり25万USドルの場合 報告義務対象
海外法人口座で、預金残高が一口座あたり25万USドル未満の場合 報告義務対象外

※次回の情報交換からは、上記すべての情報が国税庁に把握されることとなります。


 

【CRS(共通報告基準)の適用対象国】

「CRS(共通報告基準)」の適用対象国は以下のとおりです。

2017年適用国(2016年分から報告) : 55の国・地域
アングィラ、アルゼンチン、バルバドス、バミューダ諸島、ベルギー、英領ヴァージン諸島、ブルガリア、ケイマン諸島、コロンビア、クロアチア、キュラソー島、キプロス、チェコ、デンマーク、ドミニカ、エストニア、フェロー諸島、フィンランド、フランス、ドイツ、ジブラルタル、ギリシャ、グリーンランド、ガーンジー、ハンガリー、アイスランド、インド、アイルランド、マン島、イタリア、ジャージー島、韓国、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルグ、マルタ、メキシコ、モンセラト島、オランダ、ニウエ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、サンマリノ、セイシェル、スロバキア共和国、スロヴェニア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、トリニダード・トバゴ、タークス・カイコス諸島、英国
2018年適用国(2017年分から報告) : 46の国・地域
アルバニア、アンドラ、アンチグアバーブーダ、アルーバ、オーストラリア、オーストリア、バハマ、バーレーン、ベリーズ、ブラジル、ブルネイ・ダルサラーム、カナダ、チリ、中国、クック諸島、コスタリカ、ガーナ、グレナダ、香港、インドネシア、イスラエル、日本、クウェート、レバノン、マーシャル諸島、マカオ、マレーシア、モーリシャス、モナコ、ナウル、ニュージーランド、パナマ、カタール、ロシア、セントキッツ・ネイビス連邦、サモア、セントルシア、セントヴィンセント・グレナディーン、サウジアラビア、シンガポール、シント・マールテン、スイス、トルコ、アラブ首長国連邦、ウルグアイ、バヌアツ

 

米国では2010年よりFATCA (Foreign Account Tax Compliance Act=外国口座税務コンプライアンス法)という同様の制度が施行されており、アメリカ国籍保有者やグリーンカード保持者の金融口座情報は自動的にアメリカの税務当局へ情報が通知される仕組みになっています。

CRS(共通報告基準)をベースとした今回の情報交換協定は、基本的にFATCAを準拠させた制度であるとお考えください(※米国はFATCAがあることを理由に、CRSへは参加表明をしていません)。

なお、FATCAはアメリカ市民権を基準としている一方、AEOIは租税居住地(Tax Residence)を基準にしている点が大きな違いとして挙げられます。

FATCA 属人主義に基づく制度(「国籍」が判定基準)
AEOI 属地主義に基づく制度(「税務居住地」が判定基準)

AEOIのベースとなるCRS(共通報告基準)は「税務居住地」を基準にした制度である点が最大のポイントであるといえます。

参考:OECD「Standard for Automatic Exchange of Financial Account Information in Tax Matters

参考:OECD「The Automatic Exchange of Information (AEOI) portal

参考:IRS「Foreign Account Tax Compliance Act

参考:日本国税庁「非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度(FAQ)

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